The greatest thanks day to you@新代田FEVER 2016.12.23.

なかなかうまく言葉がつながらないけれど、この日のことだけはどうしても今年のうちになんとかしなくちゃいけない宿題だなーと思っていたので。書ける分だけ、言える言葉だけ。

 

 

 会場は後ろの扉が締まらないくらいの超満員で、それ以上に、何と言っていいかわからない空気が会場に充満していた。石田ショーキチ黒沢健一のファンはコア層は違うが、かぶっている部分も多い。さらに出演者橋口靖正氏の死去。その中での黒沢秀樹の参加表明。健一さんのファンは、訃報は知らされているが、まだお別れの場をもてていない。一方、出演者である石田さんと秀樹さんはもっと近しい人としておわかれをしていて、その心境を慮ると、もうどんなステージになってしまうのか、想像もつかなかった。満員の会場に充満していたのは、やり場のない悲しみだったのだと思う。

 

イシダとヒデキはPLASTIC GIRL IN CLOSETの後にキング&チキンとしてステージに登場。「みんな生きてるかー!」と客席をあおるイシダ。「生きてると支払いが……」「それステージ上でする話題じゃなくない?」といつもとかわらない調子のやりとり。そして、いつもとかわらない、アコギ2本と心地よいハーモニー。唯一のオリジナル曲「旅する僕ら」。ギターを担いで二人自ら車を運転しながら各地を回ったというユニットにふさわしい、軽やかなメロディーと歌詞がふわりと会場を駆け抜ける。スパイラルの曲のカバーを、とラズベリーベル、L⇔Rのカバーを、とタンブリングダウンをさらっと披露する。ハモりの鬼二人によるラズベリーベルはどこまでも美しく、タンブリングダウンでは会場から2拍の手拍子が響く。

 

続いてヒデキソロ。明るい曲を、と「恋のスパイス」、「Endless Harmony」では間奏に「ヒデキ―!」の合いの手。そしてその後、はじめてその話題を口にした。つとめて、いつものヒデキくんの口調で。兄貴には一生勝てなくなった、音楽は残るのがすばらしい、これからも聞いて、カラオケで歌ってください。カラオケでたくさん歌ってくれたらレコード会社の大人の人が……って、不惑をとうに過ぎているのにまだ「あの頃」が抜けないんだなあとw そして、「みんなはこれを聞いて泣いてもいいけど、なんかもう泣いてるひともいるけどまだだからw 俺は途中で泣いたら負けのやつだから」という前置きで、ああ、健一くんの曲をやるんだなと察しはついて。そしてヒデキくんが歌いだしたのは「Hello, it's me」。L⇔Rのカバーをするにしても、こんな直球勝負でくるとは思わなかった。

 

バンドセットで登場したイシダ「泣いたら負けゲームってヒデキがうまいこと言ってしたが」。セトリ覚えてる分だけ。ブラックバード、太陽道路、サマーレイン、キャラメルのクリスマス曲、稜線上のランウェイ、コスモゼロ、霧雨、dance to god。もう、超満員の観客の熱気で、頭の上から水でもかぶったかのような汗。コスモゼロはmotorworksで健一と二人で作った曲。健一がやたらポップに歌うもんだから、こんな風に歌ってくれと歌ってみたら健一が「それだ!」って。あいついいかげんなんだよ。石を投げたらピッチャー返しで帰ってきた。

 

「ヒデキいるー?」と舞台袖にイシダが呼びかけて、登場したヒデキくんはなんとフライングVを手に。ポプシクル、ノッキン。惜しみなく出されるL⇔Rのゴールデンナンバーに観客は悲鳴とともに飛び跳ねる。圧倒的な輝きをもつメロディー。

アンコールには「今日は何の日ー?」「天皇誕生日!」「今日は何曜日ー!?」「金曜日―!」「金曜日だけど、土曜日じゃないけどやっちゃっていい?」とグダグダのコールアンドレスポンスからのSaturday night!! ヒデキくんのふだんの歌声は、どちらかというと儚い、繊細なイメージで、アコギが似合う印象だった。けれど、この日はどこのロックスターの背後霊が降りてきてるの!?という力強さで、バンドサウンドを背負ってた。

そして、会場も、ステージ上も、みんな何か吹っ切れたように笑顔だった。「音楽って楽しいな!」イシダが叫んだ言葉そのままを、そんな簡単で単純でけれどとても難しいことを、みんなで確認した、そんな素敵なライブだった。

 

このシャツ、兄のクローゼットからこっそり盗んできちゃった、と茶目っ気たっぷりにつぶやいたヒデキくん。そのシャツはひょっとしたらお守り替わりだったのだろうか?それとも、せめてシャツだけでも、ステージにもう一度つれていこうと思ったのだろうか?

ヒデキくんは、おそらく兄よりもかなり苦労して音楽活動を続けていて、その分だけ強くなった部分があるんじゃないかなあと思った。これまでL⇔Rの曲を、健一くんの曲を自分が歌うことに葛藤があったであろうことは想像に難くない。L⇔Rの曲を遺されたものが歌い継いでいってほしいというファン心理(おそらくは自分も音楽リスナーとしてそれを感じているからこそくみ取って)、あるいはそれは聞きたくないという人もいるかもしれない、、、そういういろんなプレッシャーのただなかに、これ以上ない、ど真ん中直球を投げ返せる強さ。ヒデキくんの新しい音に、つながっていきますように。